大腿骨頸部骨折は、高齢者の方に特に多く見られる骨折の一つです。骨密度が低下した結果、転倒や軽度の外傷でも骨折することがあり、女性に多い傾向があります。症状としては、患部の激しい痛み、足を動かせなくなる、立ち上がれなくなるなどが挙げられます。また、左右で足の長さに違いが生じたり、足が外側をむくなどの変形が見られることもあります。
主に骨粗鬆症が原因で、骨の脆弱化により軽微な外傷でも骨折しやすくなります。また、転倒などの直接的な外傷も原因となります。高齢者の骨密度低下、運動不足、視力低下やバランス感覚の低下などがリスク要因です。
大腿骨頸部骨折の診断は、主にX線撮影によって行われます。必要に応じてCTやMRIなどの精密検査を実施し、骨折の状態や程度を詳しく確認します。
大腿骨頸部骨折の治療は、患者さんの年齢、健康状態、骨折の種類や程度によって異なります。保存治療としては、安静や痛みの管理、リハビリテーションが行われます。手術治療としては、骨折の固定術や人工股関節置換術が選択されることがあります。手術後の早期リハビリが重要で、適切なリハビリにより早期回復を目指します。
骨粗鬆症の予防や転倒予防が重要です。カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動、バランス訓練などを日常生活に取り入れることで、骨密度を維持し、転倒リスクを減らすことが可能です。また、住環境の整備や適切な靴の選択も予防に役立ちます。